事業等のリスク
経営者が当社グループの経営成績および財政状態などに影響をおよぼす可能性があると認識しているリスクについて、主な事項を記載しています。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(2025年6月25日現在)
(1)酪農乳業界の動向
乳製品の原料である生乳の取引では、「畜産経営の安定に関する法律」の加工原料乳生産者補給金制度により、生産者に補給金が支払われます。同法律が大幅に変更もしくは廃止され、補給金の水準が変化する場合は、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、乳製品には、国内農業の保護を目的とする関税制度が設けられていますが、関税制度が大幅に変更された場合、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、関係省庁・諸団体と密に連携をとり、酪農乳業界における変化等に適時適切に対処するとともに、酪農家や酪農組織を日常的に訪問し、乳牛の健康管理技術や生乳需給に関する情報提供を通じて酪農現場、生乳生産を支援しています。
(2)原材料調達
当社グループの主要な原材料は、国内外の需給状況や関税制度、さらには、為替相場の変化等により、価格や納期が変動します。この変動により、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、「森永乳業グループ調達ポリシー」のもと、安全・安心を第一に、市場等の動向を注視して、複数の地域・取引先からの購買、代替原材料の手当、為替予約や外貨決済等、様々な対策を講じています。
(3)製品品質
当社グループでは、製品製造にあたり、安全性、品質の確保に万全を期していますが、仮に大規模な製品回収や製造物責任賠償につながるような不測の事態が発生した場合は、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、製造現場のみならずサプライチェーンすべてにおける品質の考え方を「森永乳業グループ品質ポリシー」として定め、製品の安全と品質の確保に努めています。
(4)海外事業、新規事業等
当社グループでは、成長の手段として海外を中心としたM&Aや新規事業、新機軸商品への設備投資等に取り組んでいます。特に海外のM&Aにおいては、為替リスク、現地の政治情勢、レギュレーション、商習慣、市場の不確実性等に対し、最大限の情報収集に努めています。しかしながら、外部環境の急激な変化等により、当初の事業計画が未達となる等、予測と実態との間に大きな負の乖離が生じた場合、減損損失が発生し、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、各投資案件における牽制機能の強化や、M&Aを実施した会社や新規事業への定期的なモニタリング、進捗確認を通じて、将来の減損リスクの事前回避に努めています。
(5)天候
当社グループの各事業の売上は、天候の影響を受ける可能性があります。特に、冷夏の場合には、アイス、ビバレッジ等の売上が減少し、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、生産から営業に関わる各部門が密接に連携をとり、販売状況に応じたタイムリーな生産調整を行う等、全体最適を図ることで天候による影響に対しフレキシブルに対応しています。
(6)自然災害、感染症等の不測の事態
当社グループの事業拠点がある地域において、地震や暴風雨等の自然災害、火災・テロ等の事件・事故、感染症のまん延等、突発的かつ甚大な災害が発生した場合には、長期間の事業停止や物流の混乱による商品供給の停止、また、市場・生活の変化等により、業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
こうした不測の事態が発生した場合、当社グループでは、従業員とその家族、お客さま、お得意先、近隣社会、関係先の人命保護を最優先するとともに、事業継続計画書等のマニュアルを整備し、適切な商品の供給および早期に事業活動を復旧できる体制の構築に努めています。
(7)情報システム、情報セキュリティ
当社グループでは、商品の受注、原材料の発注、製品製造の指示、経理処理等、事業全般にわたって情報システムを活用していることから、規定類の整備やサポート体制の強化、各種の情報セキュリティ対策を行っています。しかしながら、災害、停電、コンピュータウィルスの感染、不正アクセス等によって、情報システムの停止や情報の流出等が発生した場合には、商品の供給不能や社会的信用の低下等により、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、内部統制委員会のもとに情報セキュリティ部会を設置し、脆弱性対策や重要データのバックアップ等ハード面の強化を進めるとともに、事業継続計画書やセキュリティルールの見直し、従業員教育等のソフト面の整備、改善を図り、情報システムの安定稼働とセキュリティの維持に努めています。
(8)知的財産
当社グループは、その事業活動において、当社グループが所有する、または第三者から適法に使用許諾を受けた種々の知的財産を活用していますが、これら知的財産権を侵害したとして第三者から不測の訴訟を提起された場合、その結果によっては、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、知的財産権を尊重し、適正な事業活動のための知的財産の出願・維持と、第三者の権利を侵害することのないよう専門部門によるチェックを継続的に実施しています。
(9)気候変動
気候変動に代表される世界的な環境問題の深刻化を受け、化石エネルギーやプラスチック使用、水リスク等に関する規制や風評が発生した場合、商品戦略の見直しや設備投資、エネルギーや原材料調達費用の増大等により、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、様々なステークホルダーを通して情報を収集し対応を進めています。
当社グループでは、「サステナビリティ中長期計画2030」において「資源と環境」をマテリアリティテーマの一つに掲げるとともに「森永乳業グループ環境ポリシー」を定め、ISO14001環境マネジメントシステムに基づき適切な目標設定と管理を行っています。
なお、気候変動への対応については、気候変動対策部会及びサステナビリティ委員会において定期的に見直しております。詳細は「TCFDへの取り組み」および「TNFDへの取り組み」をご参照ください。
【TCFDへの取り組みのURL】
https://www.morinagamilk.co.jp/sustainability/resources_and_the_environment/tcfd/
【TNFDへの取り組みのURL】
https://www.morinagamilk.co.jp/sustainability/resources_and_the_environment/tnfd/
(10)コンプライアンス
当社グループでは、内部統制委員会のもとにコンプライアンス部会を設置し、同部会を中心にコンプライアンス活動を推進しています。当社グループで働く者すべてのコンプライアンス意識の向上のため、複数の教育・研修プログラムを導入するとともに、内部通報制度である「森乳ヘルプライン」により誰もが安心して相談できる体制を整備しています。しかしながら、コンプライアンス違反等が発生した場合には、社会的信用の低下等によって、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、「コンプライアンス意識調査」等によりコンプライアンスの遵守状況を定期的にモニタリングするとともに、内部監査部門による運用状況の監査結果もふまえ、取り組みの見直しを継続的に行っています。
なお、上記のリスクが当社グループにおけるすべてのリスクではありません。