2019年07月19日 研究開発

出生直後の赤ちゃんの口腔内液からビフィズス菌
口腔内液を介したビフィズス菌の母子伝播の可能性
~科学雑誌『Scientific Reports』誌に掲載~


 森永乳業は、育児用ミルクを開発する過程で赤ちゃんの腸内フローラ、ビフィズス菌に着目し、その研究を50 年以上行ってまいりました。ビフィズス菌は乳児の健康的な発育や疾病の予防に寄与していると考えられており、赤ちゃんが産まれる際、母親の産道を通って受け継がれること(母子伝播)で腸内に定着することが通説となっております。しかしそのタイミングや経路など詳細については解明されておりませんでした。
そこで今回、母から子へのビフィズス菌の伝播経路として、出生直後の赤ちゃんの口腔内液に着目したところ以下2点が明らかになりました。

①出生時の赤ちゃんの口腔内液に生きたビフィズス菌が含まれていた。
②出生時の口腔内液から見つかったビフィズス菌株の一部は、生後1ヶ月の赤ちゃんの便から
も検出された。
 
 これらの結果は、出生時の赤ちゃんの口腔を満たしている口腔内液には、ビフィズス菌が含まれており、出生時の口腔内液の一部を赤ちゃんが飲み込むことで、おなかにそれら菌群が到着し、その後、母乳等による取捨選択を経て、赤ちゃん特有のビフィズス菌の多い腸内細菌叢が形成される可能性を示しております。本研究は、順天堂大学医学部、産婦人科浜田病院、京都大学大学院生命科学研究科と共同研究を行い、母から子へのビフィズス菌の伝播経路の一つとして出生直後の口腔内液が関与している可能性を示した研究であり、このたび科学雑誌『Scientific Reports』誌に掲載されました(2019 Jun 18;9(1):8692. doi: 10.1038/s41598-019-45198-9)。


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