商品開発

ビヒダスヨーグルト

ビフィズス菌を生きたままお腹に届ける。
森永乳業の画期的な技術開発とは
ビヒダスヨーグルト

開発の始まりは母乳栄養研究

日本のヨーグルト市場は1960年代頃まで、主に2つのタイプが主流でした。甘味を加えて寒天やゼラチンで固めた「ハードヨーグルト」と、ヨーグルトをなめらかな半固形状にし、果肉などを加えた「ソフトヨーグルト」の2タイプです。いずれも甘味があり、おやつやデザートとして食べられていました。そのような環境のなか、1970年に開催された大阪万博において、プレーンヨーグルトが紹介されます。それをきっかけに、以降、日本でも糖分を加えない「プレーンヨーグルト」が開発されるようになります。

当社は育児用ミルクの研究開発を行うなか、母乳栄養との違いのひとつとして腸内フローラに着目。なかでもビフィズス菌に注目し、研究を行ってきました。その研究で培ったビフィズス菌利用の技術や知見を活用し、ビフィズス菌入りヨーグルトの開発をスタートします。
全てのヨーグルトにビフィズス菌が入っていると思われる方も多いですが、ヨーグルトには必ずしもビフィズス菌が入っているわけではありません。ビフィズス菌は一般的なヨーグルトで使用される乳酸菌とは大きく異なり、酸や酸素に対して弱く、取り扱いが非常に難しい菌なのです。
ビフィズス菌を何とかヨーグルトに入れるべく、さまざまな技術的課題に取り組み、1971年には「ビフィズス菌入り発酵乳」の商品化に成功します。その後、さらに改良を進め、1978年に《ビヒダスヨーグルト》を発売。ヨーグルト市場に参入します。

ビヒダスヨーグルト
          左:発売当初のビヒダスヨーグルト
右:現在発売中(2022年3月時点)のビヒダスヨーグルト

ビフィズス菌を生きた状態でお客さまにお届けするには、ビフィズス菌の持つ「酸素に触れると弱ってしまう」、「ヨーグルト中では生き残りにくい」という性質を克服する必要があります。そのために、ビフィズス菌スターター(種菌)の製造方法改良や、ビフィズス菌の生残性を安定化させる酸素透過度の低い容器の開発などに取り組み、ビフィズス菌の生残率を高めた製品を安定的に製造できるようになりました。この研究成果が認められ、1996年、《ビヒダスヨーグルト》は特定保健用食品として認可されました。

ビフィズス菌を生きたままお腹に届ける
画期的技術開発

市場に出回っているヨーグルトには、乳酸菌のみを使用している商品も数多く存在します。一方《ビヒダスヨーグルト》には乳酸菌とビフィズス菌の両方が入っています。
ビフィズス菌は一般的に酸や酸素に対して弱く、全てのビフィズス菌がヨーグルトの中で増殖できるものではありません。また、発酵の際に増殖できたとしても、賞味期限までに死んでしまうビフィズス菌も多く、生きたビフィズス菌を豊富に含むヨーグルトをお客さまにご提供するのは難しいことです。そこで、ビフィズス菌を生きたままおなかに届けるために、菌を酸や酸素から守る独自の技術を開発しました。この技術は当時としては画期的で、1984年には科学技術庁長官賞も受賞しています。

ビヒダスヨーグルト

多岐にわたる機能性が期待される
〈ビフィズス菌BB536〉

《ビヒダスヨーグルト》に入っている〈ビフィズス菌BB536〉は乳児から発見されたヒトのおなかにすむ種類のビフィズス菌です。累計30か国以上で食品に使用され、日本だけでなく世界中の健康を支えています。現在市販されている他のビフィズス菌商品には、動物にすむ種類のビフィズス菌が使用されていることも多いのですが、やはりヒトに適しているのはヒトにすむ種類のビフィズス菌、と私たちは考えています。〈ビフィズス菌BB536〉はこれまでに200報以上の研究論文が発表されており、長年の研究から、整腸作用をはじめとした、さまざまな機能性に関する研究が進められています。

新たな製法の発見により
さらに広がるラインアップ

《ビヒダスヨーグルト》はプレーンタイプだけでなく、ドリンクタイプ、フルーツタイプなど、バラエティー豊かなラインアップが揃っています。
実はドリンクタイプは固形ヨーグルトよりも酸素が浸透しやすく、フルーツタイプは配合した果物からの酸が加わるため、ビフィズス菌にとってはより過酷な環境となります。当社は乳酸菌をうまく活用することでこれらのヨーグルト中のビフィズス菌の生残性を高めることに成功しました。この結果、お客さまのニーズや喫食シーンに合わせてより幅広いラインアップをご提供できるようになりました。


ビヒダスヨーグルト

ヨーグルトのさらに一歩先へ。
機能性食品の研究開発

また、《ビヒダスヨーグルト》シリーズではさまざまな機能性食品を開発、発売しています。特に、特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品ではビフィズス菌の菌数を厳密に管理する必要があります。さまざまなタイプの商品を展開するなか、各商品のビフィズス菌数を賞味期限まで元気に保つことは、非常に重要なポイントです。製造工場では一度に大量に製造するため、研究所での結果とは異なる場合もあります。原料、製造工程、製品の形態などからも影響を受けるため、その都度、配合や製造条件の見直し、新しい技術開発などを行っています。「生きたビフィズス菌を、きちんとお客さまのもとへ届ける」-さまざまな形に進化、発展しながら、《ビヒダスヨーグルト》シリーズはその使命を守っています。

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