機能性素材研究

ビフィズス菌

赤ちゃんから高齢者まで、
さまざまな世代の健康課題に挑む。
森永乳業のビフィズス菌研究
ビフィズス菌

赤ちゃんの健康を願う気持ちから生まれた
ビフィズス菌研究の歴史

森永乳業は1921年に育児用ミルク《森永ドライミルク》を発売。以降100年以上にわたり、育児用ミルクの商品開発とともに、育児用ミルクと母乳との違いや赤ちゃんの健康に関する研究の第一線を担ってきました。
それらの研究を行うなかで、「赤ちゃんのおなかのなかには、ビフィズス菌が多くすんでいる」という事実に着目したところから、当社のビフィズス菌研究が始まりました。

ビフィズス菌研究

ビフィズス菌研究
菌を培養する装置(ジャーファーメンター)

ビフィズス菌は90種類以上(2021年11月現在)に分類されています。1969年に〈ビフィズス菌 BB536〉が発見されて以来、当社では、赤ちゃんのおなかに多くすんでいる種類のビフィズス菌の一種〈ビフィズス菌 M-16V〉や、認知機能と関わりが深いとされる〈ビフィズス菌 MCC1274〉などさまざまな菌についての研究開発を行ってきました。

多くの種類があるビフィズス菌ですが、ヒトのおなかにすんでいる種類と動物のおなかにすんでいる種類とは菌種がはっきりと分かれています。現在当社ではヒトにはヒトのビフィズス菌が適しているのではという考えのもと、製品ごとにビフィズス菌を使い分けています。

半世紀以上続くビフィズス菌研究

1969年
〈ビフィズス菌 BB536〉が発見される
1971年
ビフィズス菌入り発酵乳発売
1977年
ビフィズス菌入り乳製品乳酸菌飲料発売
1986年
ビフィズス菌入りヨーグルトの製造方法をヨーロッパへ技術輸出
1994年
ドイツ企業と菌体のライセンス製造契約、世界で発売
1996年
森永乳業のヨーグルトが生きたビフィズス菌が入った食品で
初めて特定保健用食品として許可
2009年
〈ビフィズス菌 BB536〉が米国FDAの安全性認可制度で一般食品に用いることのできるビフィズス菌としては 世界で初めてGRASを取得
2013年
  • 高菌数、高生残性ビフィズス菌含有ヨーグルト製造方法の技術開発により農芸化学技術賞を受賞
  • 〈ビフィズス菌 M-16V〉が米国FDAの安全性認可制度で
    GRAS及びInfant GRASを取得
2019年
  • 〈ビフィズス菌 M-16V〉がシンガポール Nutra Ingredients‐Asia Awardsで
    乳幼児栄養賞を日本企業で初めて受賞
  • 〈ビフィズス菌 BB536〉の長年の研究と活動を評価され、
    日本食品免疫学会「食品免疫産業賞」を受賞
  • 〈ビフィズス菌 BB536〉が米国FDAの安全性認可制度で
    infant GRASを取得
2021年
〈ビフィズス菌 MCC1274〉が日本認知症予防学会において
優秀演題賞である「浦上賞」を受賞

赤ちゃんから高齢者まで
ビフィズス菌と腸内細菌の関係

ビフィズス菌は1899年、フランス・パスツール研究所のHenry Tissier博士によって赤ちゃんのおなか(便中)から発見されました。ビフィズス菌の中には、アルファベットのY字のような独特な形をしたものがあるため、その特徴的な形からラテン語で「分岐」を意味する“ビフィズス”が名称の由来となっています。大きさはおおよそ1マイクロメートル(1ミリメートルの1000分の1)ほどで、肉眼で確認することはできませんが、顕微鏡を通して私たちにその姿を見せてくれます。

ビフィズス菌がすんでいるのは、主にヒトや動物の腸内―大腸です。特徴としては酸素に弱く、ヒトが消化できず大腸まで届いた食物繊維などを栄養源として増殖することができます。まさに、大腸内に適応して進化してきた細菌と言えるでしょう。また、腸内で酢酸を作り出すことも、ビフィズス菌の大きな特徴のひとつです。酢酸には、病原性細菌に対する殺菌作用などがあることから、ビフィズス菌が腸内で産生する酢酸は、腸内環境維持に重要な役割を果たすと考えられます。

ビフィズス菌
〈ビフィズス菌 BB536〉

ヒトの健康に大きな効果をもたらす
〈ビフィズス菌 BB536〉の働き

〈ビフィズス菌 BB536〉には整腸作用が認められています。便秘気味の女性39名に〈ビフィズス菌 BB536〉入りヨーグルトを1日100g(BB536を20億個以上含む)、2週間食べてもらった結果、腸内のビフィズス菌の割合が増え、排便回数が増加しました(図参照)。
このような効果は複数の臨床試験により実証されており、特定保健用食品として認められている〈ビフィズス菌 BB536〉入りヨーグルトや乳酸菌飲料もあります。

ヨーグルト摂取による整腸作用の違い

また、近年では〈ビフィズス菌 BB536〉は、花粉、ホコリ、ハウスダストなどによる鼻の不快感を軽減する機能や、大腸の腸内環境を改善し便秘気味の方の便通を改善する機能を持つとして、機能性表示食品にも活用されています。現在は整腸作用を起点としたその他の保健機能の研究も進めています。

海外を含む多くの小児医療機関に提供されている
〈ビフィズス菌 M-16V〉

〈ビフィズス菌 M-16V〉は、特に赤ちゃんに多くすんでいる種類のビフィズス菌の一種です。低出生体重児※の赤ちゃんはさまざまな理由から腸内フローラの形成が遅れがちになります。そこで〈ビフィズス菌 M-16V〉を摂取させることで、ビフィズス菌が多い腸内フローラの形成を促し、赤ちゃん自身の成長を助ける作用が確認されています。※低出生体重児:出生時の体重が2,500gに満たない赤ちゃんのこと。低出生体重児は、出生後にも医療的ケアが必要となる場合も多く、また発育・発達の遅延や障害、成人後も含めた健康に係るリスクが大きいことが指摘されています。

ビフィズス菌
〈ビフィズス菌 M-16V〉

ビフィズス菌

当社では全国の医療機関へ25年以上前から、〈ビフィズス菌 M-16V〉の提供を行っています。
現在ではNICU(新生児集中治療室)や小児科など、全国150以上(2021年11月時点)の施設に提供しており、多くの赤ちゃんの健康を支えています。また、〈ビフィズス菌 M-16V〉による低出生体重児への効果は、学会や論文を通じて海外にも伝わり、2012年よりオーストラリアのNICUでも使用されています。さらに近年では、ニュージーランド、シンガポールのNICUでも使用が始まりました。
アメリカのFDA(食品医薬品局)から安全基準をクリアした食品原料に与えられるGRAS(Generally Recognized As Safe)を取得するなど、海外でも乳幼児向けのプロバイオティクスとして知られる存在になっています。

Column

腸内フローラとビフィズス菌

私たちの腸の中には、数百種類、約40兆個の細菌がすんでいます。これらの細菌が腸内にすんでいる状態は、まるで植物が群生する花畑のようであることから「腸内フローラ」(腸内細菌叢/ちょうないさいきんそう)と呼ばれています。近年、腸内細菌は全身の臓器や肥満、免疫反応などにも影響を与えていることを指摘する研究が数多く発表されており、腸内フローラをバランス良く保つことが健康のカギと考えられています。森永乳業では、育児用ミルクの開発から、赤ちゃんの腸内フローラを研究していく中でビフィズス菌に注目しました。腸内細菌をひとつひとつ培養して調べていた時代を経て、分析技術の発達により2000年代には腸内フローラ全体を網羅的に調べることが可能になりました。現在も世界中で研究が盛んに行われており、当社でも腸内フローラと健康との関わりや、ビフィズス菌が腸内フローラに与える影響といった研究に取り組んでいます。

ビフィズス菌研究

次世代シーケンサー:従来の装置に比べて飛躍的に多くのDNAやRNA配列を一度に解析することができる。この装置が普及した2010年代以降、複雑な腸内細菌全体の遺伝子配列などを網羅的に解析することが可能となり、腸内細菌と健康に関する研究が発展するきっかけになった。

超高齢社会に貢献する
〈ビフィズス菌 MCC1274〉

近年、「脳腸相関」という言葉として、脳と腸は自律神経系やホルモンなどを介して密接に関連していることが注目されています。当社でも10年ほど前から腸を介した脳機能への作用に着目し、研究を進めるなかで、ビフィズス菌の一種である〈ビフィズス菌 MCC1274〉に認知機能の一部である記憶力※を維持する作用があることを発見しました。このことは今後ますます高齢化する社会において、大きな貢献を果たせるものと自負しています。※記憶力とは、見たり聞いたりした内容を記憶し、思い出す力のことです。

ビフィズス菌 MCC1274
〈ビフィズス菌 MCC1274〉

世界に広がるビフィズス菌

当社は、1969年に赤ちゃんのおなかから〈ビフィズス菌 BB536〉が発見されて以来、50年以上にわたってビフィズス菌、腸内フローラの研究に取り組んでおり、ヒトにすむビフィズス菌研究論文数では世界一となっています※。ビフィズス菌は新生児から高齢者まで、幅広い世代の方の健康をサポートする素材になりました。そして、これらのビフィズス菌の利用は日本国内にとどまらず、海外でも評価され、世界各国の人々の健康と笑顔を支えています。

※㈱メタジェン調べ 2019年時点(医薬文献DBにて企業による研究論文数で世界一)

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