かがやく"笑顔"のために森永乳業

2026年07月27日 研究開発

食品介入による老化に関する臨床試験において日本初※1

「ビフィズス菌BB536」配合プレーンヨーグルトと生活習慣の改善により
老化の進行速度が減速する可能性を確認 ~科学雑誌『Aging』掲載~

 森永乳業は50年以上にわたり、ヒトの腸内に生息するビフィズス菌(Human-Residential Bifidobacteria; 以下、HRB)※2の様々な健康効果に関する研究を基礎から応用まで幅広く行っています。このたび、HRBであるビフィズス菌BB536※3を配合したプレーンヨーグルトの摂取と食事・運動習慣改善による老化への影響を調査しました。
 その結果、3か月間の取り組みにより老化の進行速度を示す指標で減速の可能性が示されました。なお、食品介入による老化に関する臨床試験において、老化速度の抑制が示されたのは日本で初めての事例となります※1。本研究成果は科学雑誌「Aging」に2026年5月29日に掲載されました※4

1.研究背景
 加齢は、心血管疾患や糖尿病、神経変性疾患など、多くの慢性疾患の大きなリスク因子として知られています。 こうした背景から、老化そのものを捉える研究の重要性が世界的にも高まっており、様々な老化関連指標が開発されています。老化の関連指標の中には血液のDNAメチル化※5情報に関するものもあり、「老化の進行速度」を表すと考えられている指標もあります。
 こうした指標を使った米国の研究では、約25%のカロリー制限を2年間継続させることで老化の進行速度が約2~3%低下する可能性が報告されています※6。そこで本研究では、1日100 gの「ビフィズス菌BB536配合プレーンヨーグルト」の摂取を含む3か月間の食事・運動習慣改善の取り組みが、老化の進行速度を示す指標に及ぼす影響を調べました。

2.研究方法
・対象者:50歳から74歳の過体重男性48名(BMIが25以上)
・試験デザイン:探索的無作為化非盲検並行群間比較試験
・試験群:
-介入群:
 ①1日100 gのビフィズス菌BB536配合プレーンヨーグルトの摂取
 ②食事指導:毎日の食事記録に基づく個別指導により、食べ過ぎや間食・加糖飲料を抑えるよう案内
 ③運動指導:ウォーキングやステッパー運動を、1日30分、週3日以上を目安に続けるよう案内
-非介入群:通常の生活習慣の維持を指導。
・試験(介入)期間:3か月間
・評価項目:DNAメチル化に基づく老化関連指標、体重やその他健康状態

3.研究結果
現在の老化の進行速度を示す指標(DunedinPACE)※7に関して、非介入群と比べて介入群では有意な低下が確認され、介入により老化の進行速度が約2.3%低下する可能性が示されました(図1)。
・探索的に、老化の進行速度の変化とBMIの変化の関連性解析※8を行ったところ、両者に明確な関連は認められませんでした(図2)。加えて、運動頻度変化との関連性も認められませんでした(図3)。

図1

               図1:試験期間前後でのDunedinPACE(老化の進行速度に関する指標)の変化
                      (* p < 0.05 非介入群と比較して有意差あり)

図2

                        図2:試験期間中のDunedinPACEとBMIの変化の関連性
            (各点は個々の参加者を表し、実線は可視化のために示した単回帰直線を表す。ピアソン相関係数=0.16、p=0.49)

画像3

         図3:試験期間中のDunedinPACEと1週間当たりの運動習慣の変化の関連性
     (各点は個々の参加者を表し、実線は可視化のために示した単回帰直線を表す。ピアソン相関係数=-0.04、p=0.85)

4.まとめと今後の展望 
 今回の研究では、1日100 gの「ビフィズス菌BB536配合プレーンヨーグルト」の摂取を含む3か月間の食事・運動習慣改善の取り組みにより、老化の進行速度を示す指標で約2.3%低下が示されました。この変化量は、米国で実施された約25%のカロリー制限を2年間継続させた研究で報告された約2~3%の低下と同程度と考えられます。またこの結果は、食事指導の影響を受けやすいと考えられるBMIや、運動回数の試験前後の変化との相関性は認められませんでした。今回実施したビフィズス菌BB536配合プレーンヨーグルトの摂取と食事や運動習慣の見直しとの組み合わせによる複合的作用が、老化の進行速度の減速に関与する可能性が考えられます。
 今後も森永乳業では、ビフィズス菌に関する研究をより一層推進してまいります。そして、ビフィズス菌の特長と科学的エビデンスをわかりやすく発信し、製品応用や海外展開を通じて、より多くの人々の健康に貢献してまいります。

<参考情報> 
※1 (株)ナレッジワイヤ調べ、PubMed・医中誌WEBに掲載された原著論文に基づく調査結果
 日本人を対象とした食事・栄養・サプリメント介入による老化に関する臨床試験において、ビフィズス菌配合ヨーグルトを含む介入の結果、老化速度※の抑制が日本で初めて示された。
※評価指標にDunedinPACEを使用(2026年4月9日および7月1日調査実施)

※2 ヒトの腸内に生息するビフィズス菌(Human-Residential Bifidobacteria; HRB) 
 ビフィズス菌は、現在までに100種類以上発見されています。しかし、ヒトの腸内にすむビフィズス菌とヒト以外にすむビフィズス菌では、基本的に種類が異なります。森永乳業は特にヒトの腸内にすむビフィズス菌にこだわって研究開発を行っています。また当社は、ビフィズス菌の中でもヒトの腸管に特徴的に生息する種を「ヒト常在性ビフィズス菌(Human-Residential Bifidobacteria; HRB)」と命名しました。ヒトの腸内にすむビフィズス菌は、1500万年以上にわたり、ヒトの祖先と共に進化を遂げてきたことが示唆されています。こうした長い共進化の過程は、HRBがヒトの健康にとって極めて重要な役割を担ってきたことを示す一つの証拠だと考えています。

※3 ビフィズス菌BB536 
 乳児から発見されたヒトの腸管に棲息するビフィズス菌です。ヒトにすむ種類のビフィズス菌が苦手とする酸や酸素に強く、大腸に到達できる菌です。

※4 論文タイトル・著者
Short-term responsiveness of DNA methylation-based aging biomarkers to a multimodal intervention comprising exercise and dietary guidance involving daily consumption of yogurt containing Bifidobacterium longum BB536: an exploratory randomized controlled trial, 
https://doi.org/10.18632/aging.206386

※5 DNAメチル化
 DNAメチル化は、DNAに生じる化学的な目印の一つであり、主に遺伝子の働き方の調節に関わっています。このDNAメチル化のパターンは加齢に伴って変化することが知られており、複数の部位の情報を組み合わせて解析することで、老化の進み方を反映するさまざまな指標が作られています。近年では、こうしたDNAメチル化に基づく指標が、老化研究や健康状態の評価に幅広く活用されるようになっています。

※6 引用文献
Effect of long-term caloric restriction on DNA methylation measures of biological aging in healthy adults from the CALERIE trial. Nat Aging. Nature Publishing Group; 2023; 3: 248–57

※7 DunedinPACE
 DunedinPACEは、血液のDNAメチル化の情報から算出される、現在の老化の進行速度(老化速度)を示す指標です。値が低いほど、老化の進み方が緩やかである可能性を示します。本研究では試験開始時から3か月後までの変化量を評価することで、試験期間中にこの老化速度指標がどのように変化したかを調べました。変化量がより低い方向にあるほど、試験前と比べて試験期間後の方が、老化速度が減速方向に変化したことを示します。

※8 関連性解析
 各項目の変化どうしに関連がみられるかを検討するため、ピアソン相関係数を用いた関連性解析を実施しました。ピアソン相関係数は、2つの連続変数の線形な関連の強さと向きを表す指標です。値が +1 に近いほど同じ方向に動く傾向が強く、-1 に近いほど反対方向に動く傾向が強く、0 に近いほど明確な関連が乏しいことを示します。本研究では、この相関係数と 統計学的な解釈(p値)を用いて、2つの変化の間に明確な関連があるかどうかを評価しました。

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