森永乳業×東京家政大学の共同研究
乳製品に含まれる乳糖・乳タンパク質・乳脂肪が、小松菜の好まれにくい味「酸味・辛味・渋味」を抑制することを確認 ~食品科学雑誌 『New Food Industry』 掲載~
森永乳業は、乳製品を活用したおいしい健康レシピの開発や調理研究を行っています。このたび、学校法人渡辺学園東京家政大学(本部:東京都板橋区加賀1-18-1、理事長:菅谷 定彦)食品衛生学研究室、調理科学第一研究室、食品機能学研究室との共同研究により、乳製品と一緒に摂取することで、小松菜が持つ好まれにくい味(酸味・辛味・渋味)が抑制されることを、分析型官能評価により確認しましたのでご報告します。本研究成果は、食品科学分野の専門誌 『New Food Industry』 に2026年3月1日に掲載されました。
本取り組みは、農林水産省が推進する「野菜を食べようプロジェクト」ならびに「牛乳でスマイルプロジェクト」の両プロジェクトの趣旨に賛同し、産学連携して国内の野菜や牛乳乳製品の消費拡大へ繋げることを目的の一つとした内容です。
<結論>
分析型官能評価により以下のことが明らかになりました。
・乳製品に含まれる乳糖、乳タンパク質、乳脂肪が、それぞれ小松菜の酸味、辛味、渋味の抑制に寄与する。
・特に乳糖、乳タンパク質、乳脂肪の3成分を複合すると、乳脂肪量が多いほど抑制効果が高まる。
1.研究背景
野菜は、ビタミン、ミネラル、食物繊維などを豊富に含み、健康維持に欠かせない食品であることから、1日350g以上の摂取が厚生労働省により推奨されています。しかし、日本人の野菜摂取量は平均約260gであり、目標量に対して約90g不足しています※1 。
※1 「健康日本21(第三次)」(厚生労働省)、「令和6年国民健康・栄養調査報告」(厚生労働省)
小松菜は、日本の食卓で親しまれている野菜であり、カルシウムやビタミンC、鉄などの栄養素を豊富に含みますが、生で食べた際に感じられる酸味、辛味、渋味などの味特性が、嗜好性の面では好まれない味となり、課題となることが知られています。そのため、実際の調理では加熱されることが多く、結果として一部の栄養素が失われる可能性があります。
一方、食品の好まれにくい味や香りは、他の食品成分との相互作用によって和らぐことが知られており、乳製品についても、香りや味のマスキング効果が知られています。
しかし、乳製品が小松菜の味に与える影響を、体系的に評価した研究はこれまで十分に行われていませんでした。そこで本研究では、乳製品に含まれる主要成分に着目し、小松菜の好まれにくい味に対する抑制効果を官能評価により検証しました。
2.研究概要
本研究では、生の小松菜をスロージューサーで搾汁した「小松菜青汁」を試料とし、乳製品成分との組み合わせが味質に及ぼす影響を検証しました。具体的には、「小松菜青汁」と比較して「酸味」「辛味」「渋味」の強度がどのように変化するかを評価しました。評価対象とした乳成分は、濃度の異なる「乳糖」「乳タンパク質」「乳脂肪」の3成分で、それぞれを単独で添加した試料に加え、これら成分を組み合わせた加工乳を用いました。
官能評価には、定量的記述的試験法(QDA法)を用い、訓練を受けた評価者により、評価しました。
3.研究結果
(1)乳成分(乳糖・乳タンパク質・乳脂肪)単独による効果
乳糖を加えた試料では、酸味・辛味・渋味が有意に抑制されました(図1-A)。乳タンパク質については、渋味に対する明確な抑制効果は確認されませんでしたが 、酸味および辛味の抑制効果は認められました。(図1-B)乳脂肪を加えた試料では、脂肪分1.75%を除いて、酸味・辛味・渋味が有意に抑制されました(図1-C)。

(2)成分を組み合わせた場合の効果
乳糖(4.8%)と乳タンパク質(3.4%)を組み合わせた試料では、特に辛味において、乳糖および乳タンパク質成分単独よりも抑制効果が高まることが確認されました(図2)。さらに、乳糖(4.8%)と乳タンパク質(3.4%)を含む状態で乳脂肪量を変化させた加工乳では、乳脂肪濃度が高くなるほど、酸味・辛味・渋味すべてにおいて抑制効果が強まる濃度依存性が認められました。(図3)

4.研究成果の活用と今後の展望
本研究で得られた知見を活かし、乳製品と組み合わせることで小松菜を生でおいしく食べられる健康レシピを、東京家政大学の学生と共同で開発しました。これらのレシピでは、本研究で確認された乳製品による好まれにくい味の抑制効果を活用し、小松菜本来の栄養価を残しながら、日常の食事に取り入れやすい工夫を行っています。
開発したレシピは、以下の企業レシピサイトにて公開しています。
https://recipesearch.morinagamilk.co.jp/?kw=%E5%B0%8F%E6%9D%BE%E8%8F%9C%C3%97%E4%B9%B3%E8%A3%BD%E5%93%81&ie=u&temp=recipe

今回の結果は、小松菜に限らず、類似した味特性を持つ野菜の調理や食べ方の工夫にも応用できる可能性を示しています。当社では、本研究で得られた知見を活かし、乳製品を活用した野菜のおいしさ向上や、野菜摂取を促進する食提案につなげていくことを目指しています。今後も、食品のおいしさのメカニズム解明と、健康的で豊かな食生活への貢献に取り組んでまいります。