商品開発

クラフト フレッシュモッツァレラ

フレッシュチーズをより身近に、より手軽に。
森永乳業がたどり着いた絶妙なやわらかさと弾力を保つ
技術開発
クラフト フレッシュモッツァレラ

高級食材をより身近に、より手軽に。
ご家庭で楽しめるモッツァレラチーズを開発

1990年代、日本ではイタリア料理ブーム、通称「イタ飯ブーム」が起こりました。それと並行して、一般のお客さまのナチュラルチーズへの関心が高まってきます。特に、ナチュラルチーズの中でもクセのない風味で、日本人にも食べやすいモッツァレラチーズの認知が広まっていきました。
しかし、当時、スーパーや食料品店で購入できるモッツァレラチーズは輸入品が中心のため高価で、家庭用に気軽に買えるものではありませんでした。
当社では、当時すでに業務用のモッツァレラチーズを手掛けており、品質についても高い評価をいただいていました。そこで、モッツァレラチーズ市場の活性化と共に、「お店で食べるもの」というイメージの強いモッツァレラチーズをより身近に感じていただき、家庭でも気軽に楽しんでいただけるようなチーズを目指して開発をスタートしました。
業務用モッツァレラチーズを使用していただいているお客さまの評価を伺いながら、何度も改良を重ね、 北海道にある別海工場にラインを新設。1999年春、おいしく新鮮なモッツァレラチーズを手ごろな価格でお楽しみいただける家庭向けの《クラフト フレッシュモッツァレラ》を発売しました。

Column

別海工場チーズ新棟の建設

日本人のチーズ消費の高まりを受けて増設した北海道別海工場内のチーズ新棟(2008年5月に竣工)。乳製品の安定需給や日本の食料自給率の向上をはかる狙いもありました。新棟の稼働により、国産ナチュラルチーズの増産体制が整いました。

別海工場チーズ新棟外観
別海工場チーズ新棟外観

モールディングマシン
モッツァレラチーズを型詰めする
モールディングマシン

絶妙なやわらかさとなめらかさの秘密は
たんぱく質をつなぐカルシウムのネットワーク

モッツァレラチーズのやわらかさはチーズの組織を形成するたんぱく質とカルシウムが関与しています。カルシウムがたんぱく質の間をつないでネットワークを形成しており、そのネットワークが密だと硬く、粗いとやわらかくなります。カルシウムの量を調整することにより、「硬い/やわらかい」という物性をコントロールし、《クラフト フレッシュモッツァレラ》のやわらかな食感を実現しています。

(図1)
(図1)

(図2)
(図2)

出典:R.Mizunoら(Milchwissenschaft)64.2.169-172(2009)


モッツァレラチーズをやわらかい食感にするためたんぱく質間のネットワークを強固にしている不溶性のリン酸カルシウム含量をミルクの段階で変化させる(図1)。酸を添加することによってpHが低下するとその程度に従って、不溶性カルシウムが溶解している。このミルクを使用してモッツァレラチーズを製造するとカルシウムの存在状態は変化する(図2)。pHの低いミルクで作ったチーズは、チーズ中のトータルカルシウム量が減少し、さらに不溶性のリン酸カルシウム率が減少する。

食卓がはなやぐ一口サイズも。
一口サイズならではの課題に直面して

その後お客さまの即食ニーズの高まりを受け、2018年にはあらかじめ一口サイズになった《クラフト ひとくちフレッシュモッツァレラ》を発売しました。

クラフト フレッシュモッツァレラ
            商品画像(2023年4月時点)

《クラフト ひとくちフレッシュモッツァレラ》も開発の段階で、その特性に合わせて物性の最適化を行っています。サイズの小さなモッツァレラチーズはやわらかすぎると、製造中に傷がつきやすく、流通時の衝撃で変形しやすくなります。逆に硬すぎると、「もちもちとした食感」「やわらかな口当たり」という《クラフト フレッシュモッツァレラ》独自の商品コンセプトから外れてしまう、という課題が生じます。《クラフト フレッシュモッツァレラ》はお料理に華やかさを添えることでも支持されていましたので、見た目の美しさも重要なポイントです。やわらかな物性を損ねることなく、きれいな丸い形を維持するにはどうすればよいか、何度も試行錯誤を重ねました。
チーズを保護している水にも秘密があります。この水はモッツァレラチーズのみずみずしさを保ち、型崩れを防ぎます。チーズの基本要素であるミルクのおいしさはそのままに、食感、見た目、味わいをキープする重要な役目を果たしています。おいしさとやわらかさの維持のため、この水の配合を幾重にも検討しました。だからこそ、保存料不使用にも関わらず、31日間※という長期間、おいしく食べていただくことができるのです。※2022年3月時点

クラフト フレッシュモッツァレラ

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