ヒトのビフィズス菌とは

ヒトのビフィズス菌とヒト以外のビフィズス菌。何がちがうの?

ヒトのビフィズス菌とは、ヒトのおなか(腸)にすむビフィズス菌のことです。ビフィズス菌にはヒトのおなかにすむ種類とそれ以外の動物などのおなかにすむ種類があることを知っていましたか?一体何が違うのでしょうか。

「ヒトにすむ」とは?

「ヒトにすむ」とは、ヒトのおなか(腸)の中に棲息していることを指します。
 ヒトやヒト以外の動物などは、それぞれ食べるものが異なり、さらには腸の長さ・消化のしくみも異なっていることから、それぞれに適した菌の種類があると考えられています。
 ビフィズス菌は現在100種類以上が見つかっていますが、その中には、昔からヒトの腸に存在してきたビフィズス菌や、ウシ、ブタ、ニワトリ、ネズミなどヒト以外の動物などの腸に存在してきた、ヒトに本来いない種のビフィズス菌など、様々なビフィズス菌があります。ヒトのビフィズス菌は、少なくとも1500万年以上前からヒトの祖先の腸にすんでおり、時代とともに変化するヒトの腸内環境に適応しながら一緒に進化してきたのは、一部のビフィズス菌だけなのです。

ヒトのビフィズス菌
(ヒトの腸にすむ種)

B.breve、B.bifidum、B.longum subsp. infantis、B.longum subsp. longum、B.adolescentis、B.pseudocatenulatum など

ヒト以外のビフィズス菌
(ヒト以外の動物などの腸にすむ種)

B.animalis subsp. animalis、B.animalis subsp. lactis など

森永乳業のヒトのビフィズス菌へのこだわり、想い

森永乳業はヒトの健康のために、ヒトの体と相性の良いビフィズス菌、つまり、ヒトにすむ種類のビフィズス菌にこだわって研究を続けてきました。大昔からヒトのおなかにすみ、ヒトの腸にあわせて一緒に進化してきたヒトのビフィズス菌こそが、ヒトの腸に合わせて最もよく働くと考え、実際に研究でヒトの体との相性の良さを明らかにしてきました。
 一方で、ヒトのビフィズス菌はヒトの腸、特に大腸に適応してきたが故に、酸や酸素に強い方ではありません。つまり、製品中に生きたまま保持したり、大腸まで届けるのが難しい菌なのです。そのため、工業的には比較的酸に強いヒト以外の動物などのビフィズス菌の方が扱い易く、多くのヨーグルトなどで使用されています。しかし、森永乳業はヒトの体と相性の良い、ヒトのビフィズス菌を多くの方にお届けすることにこだわり、製品への応用技術についても開発を重ね、ヒトのビフィズス菌を生きたまま製品中に保持する技術を確立しました。これからも森永乳業は多くの方に健康をお届けできるよう、ヒトの腸に合ったヒトのビフィズス菌の研究を追求してまいります。

ヒトの体と相性の良い、ヒトのビフィズス菌。その特徴は?

最新の研究報告から、「ヒト以外の動物などのビフィズス菌」より「ヒトのビフィズス菌」の方が一層ヒトに適していることが明らかになってきました。①ヒトのビフィズス菌が母乳と非常に相性が良いことと、②ヒトのビフィズス菌がヒトの健康に大いに役立つ特徴的な有用物質を作り出すということなどがそれを示しています。

母乳に選ばれた、ヒトのビフィズス菌

− ヒトミルクオリゴ糖をエサに増殖できる −

母乳に含まれるヒトミルクオリゴ糖※1は、消化吸収されずに大部分が大腸に届きます。ビフィズス菌の中では、​ヒトの乳幼児にすんでいるビフィズス菌だけが、そのヒトミルクオリゴ糖をエサに大腸で増殖することができます。
※1 ヒトミルクオリゴ糖:母乳に含まれる糖質の一種。小腸で消化・吸収されずに大腸まで到達しやすく、ビフィズス菌のエサになります。

ラクト-N-テトラオースを糖源とした培地での増殖能

Odamaki et al., International Journal of Genomics, 2015より作図

母乳に含まれるヒトミルクオリゴ糖の主要構成糖を唯一の糖源とした培地で、ヒトのビフィズス菌のみが増殖できました。

− 母乳中の殺菌成分への耐性 −

母乳にはいくつもの殺菌成分が含まれ、乳幼児を守っています。ヒトのビフィズス菌はその殺菌成分のひとつであるリゾチーム※2に耐性があり、母乳の中で増殖することができます。一方、ヒト以外の動物などのビフィズス菌は、同じビフィズス菌でありながら死滅してしまいます。
※2 リゾチーム:母乳中の殺菌作用を持つ酵素。ヒトの母乳のリゾチーム量は、ほかの動物の乳の数千倍です。未熟な乳児を病原性細菌から守るために、母乳には多様な殺菌成分が含まれています。

母乳中での増殖能とリゾチーム耐性 ヒトのビフィズス菌は母乳中の殺菌成分・リゾチームに耐性があり、ヒトミルクオリゴ糖をエサとして利用できるため母乳中で増えました。一方、ヒト以外のビフィズス菌はほとんどの株が死滅しました。

Minami et al., Beneficial microbes, 2016より作図

ヒトのビフィズス菌は母乳中の殺菌成分・リゾチームに耐性があり、ヒトミルクオリゴ糖をエサとして利用できるため母乳中で増えました。
一方、ヒト以外のビフィズス菌はほとんどの株が死滅しました。

ヒトに有用な機能成分をつくりだす、ヒトのビフィズス菌

2019年、森永乳業の研究によって、ヒトのビフィズス菌が機能成分「ILA(インドール-3-乳酸)※3」を作り出していることが発見されました。さらに2021年には海外の研究で、ILAが乳児の免疫や健康を守っていることが証明されています。ヒトのビフィズス菌はILAを作り出す能力が高く、一方でヒト以外の動物などのビフィズス菌はほとんど作ることができません。
※3 ILA(インドール-3-乳酸):ビフィズス菌の有用な代謝産物。数々の研究からヒトの健康に関するさまざまな機能があることが明らかになり、その存在は世界中で注目されています。腸管バリアの強化、免疫調節、抗腫瘍作用、大腸炎の抑制など、健康機能に関する論文が続々と発表されています。また、腸内で作られたILAは血流にのって運ばれ、認知機能改善や神経伸長を促進するなど、脳・神経の健康維持にまで役立っていると考えられます。

各ビフィズス菌を嫌気条件下で37 °Cで24時間、MRS-C培地にて培養

Sakurai T. et al, Microorganisms, 2019より作図

葉酸をつくりだす能力に優れている、ヒトのビフィズス菌

ヒトのビフィズス菌の方が、ヒト以外の動物などのビフィズス菌よりも、ビタミンの一種である葉酸を作り出す能力が高いことが確認されています。葉酸が欠乏すると、貧血や下痢、抑うつ、胃潰瘍等に繋がります。食事由来の葉酸は供給量が不安定であるため、全身の健康を保つためには、腸内細菌が作る葉酸も大切だと考えられています。

試験管で各ビフィズス菌を培養した後の葉酸量

Sugahara H. et al, Biosci Micribiota Food Health, 2015より作図

疾病リスクのある食事由来ペプチド分解能が高い、ヒトのビフィズス菌

疾病リスクのある食事由来のペプチドを分解する能力も、ヒトのビフィズス菌の方がヒト以外の動物などのビフィズス菌よりも高いことがわかっています。

コラム1

Q. ビフィズス菌はいつからヒトのおなかにいたの?
A. 約1500万年前から


ヒトのビフィズス菌は、少なくとも1500万年前からヒトの祖先のおなかにすんでいました。

ヒトと類人猿の祖先からゴリラ、ボノボ、チンパンジー、ヒト等に分かれて進化していく過程で、ビフィズス菌も宿主の腸内環境に適応しながら進化してきました。つまり、現代人の腸内にいるビフィズス菌は、ヒトの祖先が持っていたビフィズス菌のうち、人類の存続に有益な種類が生き残ってきたもの、とも考えられます。この歴史こそが、ヒトのビフィズス菌がヒトの役に立つ、有能なパートナーであることの証しといえるでしょう。

ヒトにすむビフィズス菌は1500万年前からのパートナー

Segre. J.A., and Salafsky. N ., Science. 2016 より作図

コラム2

Q. 「ヒトのビフィズス菌」をどうやって見分ければよいの?
A. ビフィズス菌の「菌株」の「学名」をチェックするとわかります。


たとえば森永乳業がもつ菌株「ビフィズス菌BB536」の学名は「Bifidobacterium longum」です。これはBifidobacterium(ビフィズス菌)の中でも「longum(ロンガム種)」という種類に属することを意味しています。


ヒトのビフィズス菌にはこのロンガム種のほか、breve(ブレーベ種)、infantis(インファンティス種)などがあります。
一方ヒト以外の動物などのビフィズス菌はanimalis(アニマリス種)などがあります。

ヒトのビフィズス菌
(ヒトの腸にすむ種)

B.breve、B.bifidum、B.longum subsp. infantis、B.longum subsp. longum、B.adolescentis、B.pseudocatenulatum など

ヒト以外のビフィズス菌
(ヒト以外の動物などの腸にすむ種)

B.animalis subsp. animalis、B.animalis subsp. lactis など

森永乳業の
主なビフィズス菌たちをご紹介します

ビフィズス菌BB536

ビフィズス菌BB536

ビフィズス菌とひと言にいっても、その種類はさまざま!
現在、確認されているだけでも100種類以上あり、おなかへの作用や性質もみな異なります。森永乳業が研究を続ける「ビフィズス菌BB536」は、ヒトにすむ種類のおなかに適した菌で、酸や酸素に強いため製品中で生き残りやすく、また整腸作用からアレルギー予防、感染防御などの働きをしてくれる優れたビフィズス菌です。ここでは、その働きを見ていきましょう。

ビフィズス菌M-16V

ビフィズス菌M-16V

ビフィズス菌は、生まれたての赤ちゃんにとって健康を守るとても大切な菌です。未熟な腸や免疫機能の発達を助けて、赤ちゃんの命が危険に晒されないように見張っているのです。その頼もしい働きぶりをみてみましょう。

ビフィズス菌MCC1274

ビフィズス菌MCC1274

軽度認知障害への作用が確認され注目される「ビフィズス菌 MCC1274」。森永乳業が脳と腸の関係を研究する中で見出したビフィズス菌です。その詳しい働きを見ていきましょう。