手軽に腸の働きを改善!便秘や下痢に効くツボ

何日もお腹がはってつらい「便秘」や、突然やってくる腹痛とともに水っぽい便が出る「下痢」。これらの症状は、腸の働きが鈍っているときに起こります。そんなときに利用したいのが、いつでもどこでも押すだけで、腸の神経を刺激し、手軽に不調を解消する「ツボ押し」です。今回は、お腹の調子が悪いときに知っておくと便利な、ツボをご紹介します。

ツボを的確にとらえ、
正しくツボ押ししよう!

お腹の調子を良くしてくれる快便のツボを知る前に、まずはツボ押しのポイントを確認しておきましょう。ツボは東洋医学で、「気」の流れを調整する要所とされており、神経が集中している場所であることがわかっています。人間にとって大切な神経は、硬い骨に守られるようにはりめぐらされているもの。多くのツボは骨の縁(へり)にあり、体の表面ではなく奥のほうに存在するのです。そのため、ツボは骨の付け根やくぼみをポイントにして、骨の内側に指をもぐらせるように探ると正しい位置がわかります。

次にツボの押し方をマスターしましょう。ツボ押しは緊張して筋肉が硬くなっていると、うまく指が入らないので、リラックスした状態で行います。深呼吸やストレッチをすると自然に心と体の緊張がほぐれます。ツボを押す回数は、1つのツボにつき、2~3回が目安です。

ツボを押すときは呼吸とあわせて行うのが正解。まず、ツボを押す前に大きく息を吸い込み、ツボを押し始めるときは息を細く吐きながら、親指に力を入れます。ツボが正しく押さえられたと感じたら、そのまま5秒キープ。押している間は息を吐き続け、少しずつ指を離していきます。ツボ押しは、「痛いほど効く」と勘違いしている人がいるかもしれませんが、強く押し過ぎると筋肉が緊張してしまい、逆効果。押した場所が炎症を起こして悪化してしまう恐れもあるので気をつけましょう。

お腹のツボを直接刺激して、
「お腹の調子を整える」

  • ・大腸兪(だいちょうゆ):
    下痢にも便秘にも効果を発揮

  背中の腰辺りにある腸の働きを正常化するツボ。食あたりや冷え、ストレスなどさまざまな原因による下痢や便秘改善に役立ちます。

  背骨と左右の骨盤のラインが交わるところにあります。背骨に沿って親指で上から下にたどっていき、骨盤とぶつかった左右のポイントが大腸兪のツボです。ツボを見つけたら、体の中心に向かって押します。

大腸兪(だいちょうゆ)
  • ・大巨(だいこ):
    慢性の便秘症に効果を発揮

  へその下にあり、胃腸を本来の働きに戻すツボ。慢性の便秘によく効くとされるので、便秘症の人は直接刺激してみるとよいでしょう。

へそから指幅3本分下がったところの左右にあります。へその下に人差し指を当て、指3本分下がったポイントを見つけ、そこからさらに指2本分の左右のポイントが大巨のツボ。中指の腹をツボに当てて、体の中心に向かってやさしく押します。

大巨(だいこ)
  • ・天枢(てんすう):
    腸の働きを活発化してデトックス

へその左右にある腸の働きを司るツボ。腸に働きかけて消化をスムーズにしたい人におすすめ。腸内の不要なものをデトックスするため、ダイエットや美肌対策にもなります。

へそから左右に指三本分離れた場所にあります。へそから脇に向けて人差し指・中指・薬指を当てて、位置を確認しましょう。天枢のツボを見つけたら、中指の腹をツボに当てて、体の中心に向かってやさしく押します。

天枢(天枢)

手足にある腸のツボを押して、
「お腹の調子を整える」

お腹のツボを直接刺激する以外にも、手足にある腸のツボを押して、下痢の改善を促す方法もあります。手足のツボ押しは、手軽なので覚えておくとよいでしょう。

  • ・温溜(おんる):
    ストレスによる神経性下痢に

ひじと手首の真ん中にあるストレス性の下痢に効くツボ。普段から緊張やストレスが多く、腸の状態が不安定となっている人の腸の働きを改善します。

手首を曲げたときにできる横シワとひじまでの距離のちょうど半分の場所にあります。ツボが見つかったら、腕を上からつまむようにしてツボに親指を当て、骨から押し上げるように。

温溜(おんる)
  • ・裏内庭(うらないてい):
    即効で下痢を止めたいときに

足の裏の人差し指あたりにある下痢止めのツボ。急な下痢が起きたときに押すと、即効性があります。エアコンなどで急に冷えたり、ストレスで下痢になったりしたときには押してみましょう。

足の裏の人差し指の付け根の少し中指寄りにあります。急な下痢の場合に押すのもよいですが、ツボにお灸をして温めるのもよいでしょう。

裏内庭(うらないてい)
  • ・梁丘(りょうきゅう):
    腸の働きを改善し、下痢をストップ

ももの下あたりの両脇にある腸の働きを司るツボ。腸の働きを改善することで下痢を止めます。座ったままでも押しやすいツボです。

座った状態で、大腿骨から膝に沿って指をすべらせ、骨に当たって止まる手前にあるツボ。大腿骨のやや外側で膝から2.5cm上にあります。ツボがわかったら、こぶしをつくって小指の横腹で上下にこすります。ストッキングや服の上からだとすべりがよいです。

梁丘(りょうきゅう)
  • ・腹瀉点(ふくしゃてん):
    下痢を緩和したいときに

別名・下痢点ともよばれる下痢の緩和に役立つツボ。下痢になってしまったあと、急な痛みに我慢できないときには、押してみましょう。

手の甲の中指と薬指の骨の間にあります。中指と薬指の骨の間を手首側に沿って、骨が交わる部分のくぼみの少し上にあるのが腹瀉点。親指と人差し指で手を挟んで、親指をツボに当てて押します。

腹瀉点(ふくしゃてん)

ツボ押しは、
どう腸に効いているの?

ツボ押しは腸にどのように働きかけているのでしょう。ツボは神経が集まった場所なので、ツボを押すと主に自律神経が刺激されます。例えば腸のツボの場合、ツボ押しによって腸に関わる神経が活性化し、その情報が脳へ伝達され、脳から腸の働きをコントロールする指令が出されるしくみになっています。

しかし、ツボが下痢や便秘に効果を発揮するとはいえ、そもそもの不調をとりのぞくものではありません。いくら腸の働きをツボで整えても、腸内環境が悪ければ、下痢や便秘体質から抜け出すことはできないのです。不調の原因には、普段の生活習慣が大きく関わっています。下痢や便秘は、胃腸の働きが鈍っているときに起こるもの。ビフィズス菌や乳酸菌などで腸内環境を整えることが欠かせません。腸内環境が良くなると、消化吸収がスムーズにいくのです。ヨーグルトをはじめとする発酵食品は、腸内環境の改善に大いに役立ちます。毎日の食生活に取りいれて、下痢や便秘の予防をしておくことが何より大切なのです。

〈参考文献〉

『一目でわかる!必ず見つかる!ホントのツボがちゃんと押せる本』加藤雅俊著・高橋書店

『自分のからだと上手につきあうツボのつぼ―症状で引ける 痛み・コリ・不調をすっきり解消!』邱淑惠監修・成美堂出版