新型コロナによるのどの痛み、その特徴は?

外気が乾燥する冬は、1年の中でも風邪やインフルエンザ、新型コロナなどの感染症にかかりやすい季節です。こうした感染症に共通する症状が「のどの痛み」です。近年は、複数の感染症が同時に流行するなど、症状だけで見分けることは難しくなっていますが、のどの痛みが起こるメカニズムと疾患別の症状の特徴、受診のタイミングを知っておきましょう。

監修者
プロフィール

橋本真一(はしもと・しんいち)先生
橋本真一(はしもと・しんいち)先生
和歌山県立医科大学 医学部先端医学研究所 分子病態解析研究部 教授
東邦大学薬学部薬学科卒業。薬学博士。主な研究に、「がん微小環境における細胞間相互作用の解明」「ゲノム・オミックス解析を基盤とした悪性腫瘍、炎症免疫組織の病態解明」等がある。

1.新型コロナの症状における「のどの痛み」とは?

新型コロナの症状における「のどの痛み」とは?
現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は「5類感染症」の扱いとなっており、社会的な制限は緩和されています。しかし、ウイルス自体は変異を繰り返しながら、依然として存在しています。
その症状は多岐にわたりますが、「のどの痛み」は多くの人が経験する代表的な症状の一つです。

「デルタ株」など過去の変異株と比較して、オミクロン株以降は、のどの痛みや咽頭炎症状など、より上気道に症状が出やすい傾向にあります。

中でも、2025年夏以降、主要な株に置き換わった新変異株「ニンバス」は、「強烈なのどの痛み」が大きな特徴です。海外では「カミソリの刃でのどを切られたような痛み」と表現されるほど、強いのどの痛みを訴える患者が多いと報告されています。

ただし、軽症の場合は「少しのどが痛い」「イガイガする」程度の場合もあります。強いのどの痛みがないからといって、「新型コロナではない」と自己判断はできません。

新型コロナはのどの痛みだけでなく、発熱やせき、鼻症状、全身の倦怠感などを併発するケースが多く、風邪やインフルエンザと症状が似ています。そのため、症状だけでは区別が難しいといわれています。

またイギリスでは、オミクロン株から派生した新たなストラタス亜種が、国内全土に急速な広がりを見せており、世界保健機関(WHO)もストラタスは新たな感染の波だと警戒しています。

ストタラスの主な症状は、声のかすれですが、症状には個人差があり、正確な診断には検査が必要です。

2.のどの痛みが起こる仕組み

のどの痛みが起こる仕組み
のどの粘膜のバリア機能
そもそも、のどの痛みはどうして起こるのでしょうか。そのメカニズムは以下のとおりです。

のどは粘膜で守られていますが、ウイルスや細菌などの病原菌が侵入して、上気道(鼻腔~喉頭)の粘膜に感染すると、炎症が起こります。炎症は粘膜が病原体と戦う免疫反応によって起こるもので、「痛み」「腫れ」「のどの違和感」などの症状となって現れます。

のどの粘膜は外部のいろいろな異物の入り口となるため、病原体から体を守るバリア機能や免疫機能が強く働くのです。しかし、肝心の粘膜が乾燥していると、バリア機能を十分果たすことができません。上気道をすり抜け、より深い下部の気道に病原体が入り込むと、肺炎を引き起こすリスクもあります。

3.新型コロナと、その他の原因によるのどの痛み

新型コロナと、その他の原因によるのどの痛み
新型コロナと普通の風邪、インフルエンザは、いずれも症状の特徴が似ています。アレルギーが原因ののどの痛みや、乾燥によるのどの違和感との違いも含め、一般的な症状の特徴を比較してみましょう。

1 新型コロナの特徴
・強いのどの痛み(特にニンバス株)
・高熱を伴う
・強い倦怠感が長く続く傾向がある
・息苦しさがある
・のどの強い痛みだけが目立つ場合もある

2 一般的な風邪の特徴
・比較的軽いのどの痛み
・鼻水やくしゃみ
・3日~1週間程度で回復する
・熱は微熱程度が多い
・全身症状は軽い

3 インフルエンザの特徴
・38度以上の急な高熱
・強い関節痛、筋肉痛
・悪寒や寒気
・全身症状が強い
・症状が急激に悪化する

4 アレルギーによるのどの違和感の特徴
花粉症やアレルギー性鼻炎など、アレルギーが原因ののどの違和感は、のどの「痛み」よりも「かゆみ」「イガイガ感」が強い点が特徴です。

5 乾燥によるのどの違和感の特徴
朝起きた時に、一時的に痛みが出やすい、声が出ないなどの症状は、のどの乾燥が原因かもしれません。湿度の低い部屋で就寝中に口呼吸をしていると、のどはカラカラに乾いて、のどの痛みや違和感を引き起こします。

これらはあくまで一般的な特徴であり、実際には症状だけで確実に見分けることは医師ですら困難だといわれています。急な高熱や強いのどの痛みなど、新型コロナやインフルエンザを疑う症状があれば、速やかに医療機関を受診して、検査を受けましょう。

4.のどの痛みへのセルフケア

水分補給
のどの痛みが強くなるとつらいですし、悪化すると日常生活に支障を来す場合もあります。症状が出始めたら、以下のようなセルフケアを取り入れてみましょう。

●水分補給
加湿
のどの粘膜を潤すためにも、こまめに水分を摂りましょう。水分補給には常温の水がお勧めです。発熱すると脱水になりやすいため、水分補給がより重要になります。

●うがい
のどの痛みの予防には、のどの粘膜を保湿し、刺激を緩和するうがいが有効です。外出先から帰宅したら、うがいを習慣にしましょう。

のどの痛みがある時は、塩水でうがいをすると一時的に痛みを和らげることができます。コップ1杯(約200~250mL)のぬるま湯に小さじ4分の1程度の塩を溶かしてうがいをしましょう。

のどが腫れている、唾液を飲み込むのもつらい激痛がある場合は、殺菌作用や炎症を抑える成分が入ったうがい薬を活用するのも有効です。

●のど飴
のど飴は唾液の分泌を促し、粘膜の保湿に役立ちます。外出時の急なのどの痛みやせき対策にも活用できます。

●加湿

のどの粘膜の乾燥は痛みを悪化させます。湿度40~60%を目安に、加湿器などを活用して室内の湿度を保ちましょう。濡れタオルをハンガーなどにかけて干すのも、加湿効果が期待できます。

●安静と睡眠
無理をせず、十分な休養や睡眠を取りましょう。安静と睡眠が免疫機能の回復をサポートします。

●解熱鎮痛剤の使用
高熱が続き全身の状態が悪く、飲食がとれない場合は、解熱鎮痛剤の使用によって一時的に症状を和らげることができます。市販薬を使用する際は薬剤師に相談の上、用法・用量を守って使用しましょう。また、症状が改善しない場合は、早めに医療機関を受診してください。

5.自己判断せず、気になる症状があれば迷わず医療機関を受診

自己判断せず、気になる症状があれば迷わず医療機関を受診
以下のような症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。

・強いのどの痛みで飲食ができない
・息苦しさを伴う高熱やせき
・症状が長引く、または悪化した
・高齢者の発症
・糖尿病や高血圧、心臓病などの基礎疾患がある人の発症

特に、高齢者や基礎疾患がある人は重症化しやすいため、発症早期の受診が重要です。

まとめ

のどの痛みだけで、一般的な風邪なのか、新型コロナやインフルエンザなのかを判断することはできません。また、のどの痛みの強さや発熱の有無などは個人差もあります。新型コロナやインフルエンザを疑う症状がある場合は、医療機関を受診し、医師の診断の下で症状に合った治療を受けましょう。