免疫機能を維持するためにとりたい食べ物は?

食事は日々の活動のためのエネルギー。免疫細胞が元気に活動できる源も、やはり「食」です。今回は、免疫機能の維持に役立つ栄養素と、日々の食事に取り入れやすい食材を紹介します。免疫細胞と密接な関係がある腸活をより効果的に行える食べ物や食べ方も、ぜひ覚えておきましょう。

監修者
プロフィール

橋本真一(はしもと・しんいち)先生
橋本真一(はしもと・しんいち)先生
和歌山県立医科大学 医学部先端医学研究所 分子病態解析研究部 教授
東邦大学薬学部薬学科卒業。薬学博士。主な研究に、「がん微小環境における細胞間相互作用の解明」「ゲノム・オミックス解析を基盤とした悪性腫瘍、炎症免疫組織の病態解明」等がある。

1.免疫機能と食事の関係は?

免疫機能と食事の関係は?
人間の体は自分が食べたもので出来ています。当然ながら、免疫細胞も体内の栄養素を材料にしてつくられ、働いているわけです。そのため、免疫機能の維持には栄養バランスの取れた食事が欠かせません。栄養が不足すると、免疫機能の低下につながることがあるため、食事の内容にも注意を払いましょう。

また、免疫細胞だけにスポットが当たりがちですが、私たちの体は「皮膚」「粘膜」「免疫細胞」という3段階のバリアによって、体内に病原体が侵入するのを防いでいます。前線に立って病原体と戦う鼻や口、のどなどの粘膜を潤して保護したり、皮膚のバリア機能を維持する働きのある食べ物も積極的にとるとよいでしょう。
免疫機能
さらに、全身の約7割の免疫細胞がいる腸の健康をいかに守るかも、免疫機能を維持する要になります。腸内環境に大きな影響を与える腸内細菌は、私たちが食べたものをエサにして増殖します。そして、腸内細菌(善玉菌)が産生する短鎖脂肪酸は、私たちの免疫機能や腸管のバリア機能を高めます。つまり、私たちと腸内細菌は共生関係にあるということ。腸活は免疫機能の維持につながります。

2.免疫機能を維持するためにとりたい栄養素と食べ物

免疫システムは複雑で、様々な栄養素や成分が働くことで正常に保たれています。そのため、特定の栄養素だけをとればよいというわけではなく、バランスの良い食事で、様々な食品から多様な栄養素や成分を摂取することが大切です。

また、免疫細胞はもちろんのこと、皮膚や粘膜のバリア機能の保護や修復に関わる栄養素や成分も、体の防御機能の維持につながるものだといえるでしょう。

食事のバランスを整えた上で、免疫機能を維持するために、なるべく欠かさないでおきたい栄養素や成分と、それを含む食品を紹介します。

●たんぱく質
➀ たんぱく質
たんぱく質は免疫細胞や抗体をつくる材料となる栄養素です。毎日の食事でしっかりとりましょう。肉や魚、卵、牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品から摂取できる動物性たんぱく質、大豆や大豆製品などからとれる植物性たんぱく質、いろいろな種類のたんぱく質をとることが大切です。

また、栄養素ではありませんが、乳タンパク質の一種である「ラクトフェリン」には、のどの粘膜を保湿して乾燥から保護する働きが期待されています。さらに、ラクトフェリンは免疫細胞の司令塔に当たるpDC(プラズマサイトイド樹状細胞)を活性化させることが臨床試験で確認されており、健康な人の免疫機能の維持に役立つことが報告されています。

ラクトフェリンは乳に含まれていますが、一般の食品(もしくは乳製品)では十分な量の摂取が難しいため、サプリメントやラクトフェリンを強化した食品などを活用するとよいでしょう。

●ビタミンD

いくつかの研究によって、血中のビタミンDの濃度と、風邪などの上気道感染症の感染リスクとの間には関連性が認められています。ビタミンDが不足している人がこれを補うと、感染リスクの低下が期待できるため、ビタミンDは免疫力の維持につながるといえるでしょう。

ビタミンDを多く含む食品は、あんこうの肝、さけ、さんま、まぐろ(大トロや中トロ)などの脂ののった魚類と、まいたけやきくらげなどのきのこ類、卵などです。ビタミンDは脂溶性で、油と一緒にとることで吸収率が良くなるので、きのこを炒め物にしたり、魚をオリーブオイルなどで焼いて食べるのもお勧めです。

また、ビタミンDは紫外線に当たることで皮膚でも合成される特殊な栄養素で、その産生量は食品からの摂取量を上回ります。食品からとるだけでなく、日光浴などで適度な紫外線を浴びることで増やすことができます。

●ビタミンA
ビタミンAは、上皮組織(皮膚や粘膜)をつくるのに使われる栄養素で、皮膚と粘膜のバリア機能を保つことに役立ちます。また、重要な免疫細胞の1つであるT細胞に作用します。ビタミンAが欠乏すると、皮膚や粘膜のバリア機能と免疫系への作用の両面から、感染症のリスクが上がることが分かっています。

ビタミンAは鶏レバーや豚レバーに多く含まれています。また、にんじんやほうれん草、かぼちゃなどに含まれるカロテンは、体内で必要に応じてビタミンAに変化して働くため「プロビタミンA」と呼ばれています。

●ビタミンB6・B12・葉酸
ビタミンB6・B12・葉酸は、代謝に大切なビタミンで、DNAやRNAとタンパク質の合成に欠かせません。欠乏するとT細胞やB細胞などの免疫細胞の機能に影響します。

ビタミンB6はまぐろの赤身や鶏のささ身、バナナなどに多く、ビタミンB12は牛レバーやさんま、しじみなどに多く含まれています。葉酸は鶏レバー、ほうれん草、モロヘイヤ、ブロッコリーなどに多く含まれます。

3.腸に良い食べ物は、免疫機能の維持に役立つ

腸に良い食べ物は、免疫機能の維持に役立つ
人体最大の免疫器官といわれる腸。それは、免疫細胞の約7割が腸に存在しているからに他なりません。まさに腸は免疫機能維持の要。腸内環境を整える食べ物や効果的な食べ方をご紹介します。

腸を整える食べ物を効果的にとるポイントは、乳酸菌やビフィズス菌、酪酸菌などに代表される善玉菌を含む「プロバイオティクス」と、食物繊維など善玉菌のエサとなる「プレバイオティクス」の両方をとること。近年は、「プロバイオティクス」と「プレバイオティクス」を一緒にとる「シンバイオティクス」が、より腸活の効果を発揮すると注目されています。

プロバイオティクスを多く含む食品は、ヨーグルトやチーズ、みそ、漬け物、キムチ、納豆などの発酵食品です。プレバイオティクスには、発酵性食物繊維、オリゴ糖、レジスタントスターチなどがあります。

●食物繊維
食物繊維の中でも、腸内細菌がエサとして利用しやすい食物繊維を発酵性食物繊維と呼び、水溶性食物繊維のほとんどが含まれる他、不溶性食物繊維の一部も含まれます。

発酵性食物繊維を多く含むのは、わかめや昆布などの海藻類、おくらやモロヘイヤなどネバネバした野菜、リンゴやキウイフルーツ、かんきつ類などの果物、大麦や小麦ふすまなどの穀類、インゲン豆や大豆といった豆類です。

●オリゴ糖
オリゴ糖は難消化性で、消化されずに大腸まで届き、大腸でビフィズス菌などのエサになります。オリゴ糖には多くの種類があり、玉ねぎ、ごぼう、バナナなどに豊富に含まれています。

●レジスタントスターチ
レジスタントスターチは小腸で消化されずに大腸に運ばれる「難消化性でんぷん」のこと。冷やご飯やじゃがいもなどに多く含まれます。加熱調理した後、冷ますと量が増えるため、おにぎりやポテトサラダなど、調理後に冷やして食べるメニューでとるのがお勧めです。

まとめ

これまで見てきたように、免疫機能の維持には実に様々な栄養素が関わっています。だからこそ、様々な栄養素を摂取できるようなバランスの取れた食事が大切なのです。今回ご紹介した栄養素や食べ物、食べ方のコツを参考に食事を見直してみましょう。