微酸性電解水のノロウイルス対策としての有用性について

微酸性電解水のノロウイルス対策としての有用性について

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ノロウイルスの専門家 / 厚生労働省 ノロウイルスに関するQ&A作成協力者 / 愛知医科大学医学部 客員教授 / 元国立感染症研究所 室長   西尾治先生 ノロウイルスの専門家 / 厚生労働省 ノロウイルスに関するQ&A作成協力者 / 愛知医科大学医学部 客員教授 / 元国立感染症研究所 室長   西尾治先生
ノロウイルスの特徴を教えてください。 ノロウイルスの特徴を教えてください。

ノロウイルスはとにかく微小です。直径38nm前後(注:38/1,000,000mm)ですから、手の奥深くに入り込んでしまい、さっと手を洗ったくらいでは落ちにくいという特徴があります。
また、感染力が非常に強く、人間が感染するのに必要なウイルス数は近年流行している株ではたった18個と言われています。インフルエンザウイルスなら感染に3000個必要なことと比べると、その強さがお分かりいただけるかと思います。

ノロウイルスは感染者の糞便や嘔吐物とともに排出されますが、急性期の患者の糞便には通常1g中に1億個以上のウイルスが通常含まれています。極端な話、感染者の糞便が20gあれば日本国民全員を感染させる力があるのです。

ノロウイルス ノロウイルス
なぜ、最近ノロウイルスの話題が多いのですか? なぜ、最近ノロウイルスの話題が多いのですか?

1997年以前から原因不明の食中毒というものはありました。特に、1990年後半頃からカキを食べた人が急性胃腸炎を発症し、患者の糞便の電子顕微鏡の検査で「小型のウイルス粒子」がしばしば検出されました。カキを介する食中毒が多発したことから、厚生省(現在の厚生労働省)が1997年に食中毒の病因物質として「小型球形ウイルス」(現在のノロウイルス)および「その他のウイルス」を指定しました。その後は食中毒の原因究明にウイルス検査が行われるようになったことから、ノロウイルスによる食中毒が報告されるようになりました。なお、指定前は食中毒に際してウイルス検査がほとんど行われていませんでした。
そして、感染力と病原性の強いノロウイルスGⅡ・4株の変異株がヨーロッパで2002年に出現し、欧米でノロウイルスの集団発生が多発。その後2004年にはGⅡ・4の2002年株が大きく変異し、日本でも欧米と同様に大流行しました。この時を契機に、日本でノロウイルスの名前が広く知られるようになりました。その後、この株は2,3年ごとに変異し、毎年のように流行したのは記憶に新しいと思います。
ちなみに、ノロウイルスはインフルエンザウイルスA型と同じく「変異」しますので、新しい変異株が出た年はみなさんに抗体が無く、感染が広がる傾向にあります。2014年10月から中国で新しい変異株(GⅡ・17)が出現し、この株は今年になり日本を含むアジア地域のみならずヨーロッパでも見出されていますので、今年の冬は大流行する危険性が高いと言われています。

ノロウイルスグラフ ノロウイルスグラフ
どうすればノロウイルスを防げますか。 どうすればノロウイルスを防げますか。

ノロウイルスは感染者の糞便や嘔吐物から排出され、それが口に入ることで感染します。
排便時、おむつ替えの際に手あるいは衣類にウイルスがつきます。ノロウイルスが付着した手、衣類、そして嘔吐物の処理の際のぞうきん、バケツ、手洗い場等の身の回りにノロウイルスが付着し、それらに他の人の手等が触れて、手あるいは食物等を介してウイルスが口に入ることにより感染します。
また、ノロウイルスに汚染された手の洗い方が不十分の状態で、調理従事者が生で提供する、あるいは加熱後の食品、調理器具、食器等に触れることにより食中毒となります。このような食中毒事件が多発しています。

糞便、嘔吐物が乾燥しますと、ノロウイルスは微小のため、乾燥すると塵となり、空中に漂い、直接あるいは食材、食器等に付着して、口に入り感染します。
感染者は排便後に確実にしっかりと手洗いを行うことと、糞便や嘔吐物を適切に処理し、手や口、食材への感染経路を断つことがノロウイルス予防には必須となります。
ちなみにワクチンなどの特効薬は今のところありません

大量調理施設や外食・中食産業でのノロウイルス対策は? 大量調理施設や外食・中食産業でのノロウイルス対策は?

ノロウイルスの感染ルートで最も多いのが、前に述べましたように調理従事者の手から調理器具や食材・食器を触れ、食中毒を起こすというものです。
ノロウイルスに感染している人が出勤したり、食材に触ることが無いようにするのはもちろんですが、下痢などの症状が治まり、本人は治ったと思っていても、その後10日間程度はウイルスを排出し続け、感染源となります。また、厄介なことに、ノロウイルスに感染していても、下痢・嘔吐などの症状が出ない無症状感染者というのも存在し、症状のある患者となんら変わらない大量のウイルスを排出する人も見られます。
つまり、ノロウイルスに関しては、「常に誰かは感染している」という前提で対策を行うことが大切なのです。
その対策の第一は、手洗いと手袋の徹底。調理施設ではトイレの個室内に手洗い設備を設置し、身を整える前に手洗いをし、さらに、調理室に入る際に再度手洗いを温水でおこないます。手洗い方法は文部科学省の手洗いマニュアルを参照してください。さらに生食する食材、加熱後の食材に触れる際には必ず手袋を着用することが必要です。
また、ノロウイルスがついてしまった食材が流通してくることもあります。ノロウイルスがついていても、目で見ることができません。常についていると思い対応することが肝要です。食材、調理器具、食器等の除菌には微酸性電解水で洗うことが有効です。

食品取り扱い者による汚染様式 食品取り扱い者による汚染様式
微酸性電解水(ex:ピュアスター生成水)によるノロ対策について 微酸性電解水(ex:ピュアスター生成水)によるノロ対策について

ノロウイルスはアルコールでは消毒しづらく、通常では次亜塩素酸ナトリウムでの消毒が推奨されています。しかし、次亜塩素酸ナトリウムは独特の刺激臭が強く、調理の場では食材にも臭いがついてしまうと同時に、調理をする人の健康への問題もあります。また、調理器具や機械を腐食してしまうという問題も挙げられています。
これらの問題を解決するものとして、今、微酸性電解水が注目されているのです。微酸性電解水は次亜塩素酸ナトリウムよりも塩素濃度が低いものの殺菌効果が高く、刺激臭がほとんどないため、使いやすく、使用する人にも機械にも優しい除菌水といえます。
ただ、注意すべきことは溜め水として使用せず、いわゆる「かけ流し」として、この水で洗い流す。このような使い方を心がけてください。微酸性電解水は反応性が非常に高く、有機物に接触すると反応して水に戻る性質があるため、かけ流しにすることによって高い殺菌力が保たれるのです。
糞便・嘔吐物のように、不純物の多いもののノロウイルス不活化には、微酸性電解水は塩素濃度が低いため用いることはできません。不純物の多いものには高濃度(1000〜5000ppm)の次亜塩素酸ナトリウムを使用してください。

微酸性電解水は「すすぎ」で使用 微酸性電解水は「すすぎ」で使用
厚生労働省のガイドラインを踏まえた上で電解水の使用方法のアドバイスをお願いします。 厚生労働省のガイドラインを踏まえた上で電解水の使用方法のアドバイスをお願いします。

厚生労働省のガイドラインを踏まえた上で
電解水の使用方法のアドバイスをお願いします。

近年の「大量調理施設衛生管理マニュアル」の改正も、ノロウイルスによる食中毒事件が多発していることを受け、食中毒の予防の観点から改正されています。
野菜や果物、調理機械は3回以上水洗いをした後に次亜塩素酸ナトリウム等で殺菌し、流水ですすぎ洗いをすると示されています。特に生で提供する野菜や果物等には次亜塩素酸ナトリウム等での殺菌を微酸性電解水のかけ流しで置き換えることができます。
また、調理台・まな板・包丁・へら等の除菌も微酸性電解水のかけ流しで行うことができます。

先ほど言いましたが、次亜塩素酸ナトリウムにつきまとう臭いや、調理する人の健康のことを考えると、調理場ではこちらに置き換えることをお勧めします。

2015年8月取材

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