森永乳業グループは
社会の変化にあわせ、
サステナブルな企業を目指し、
挑戦を続けてまいります。

「乳で培った技術」を通じた
森永乳業グループとしての
価値提供と、
変化の多い時代における
果たすべき責任

森永乳業グループは、「健康で幸せな生活に貢献し豊かな社会をつくる」ことを経営理念とし、身近な商品を通じて、お客さまの健康を支え、幸せな生活に貢献することで、笑顔あふれる豊かな社会の実現を目指しています。
「かがやく“笑顔”のために」というコーポレートスローガンには、おいしさと健康の両面でお客さまを笑顔にする、という私たちの決意が込められており、創業以来「乳で培った技術」によって私たちならではの価値を追求してまいりました。

2023年3月には、コーポレートミッションの具体的な行動声明として「ウェルビーイングステートメント」を策定しました。私たち一人ひとりが、個性と能力を発揮し、森永乳業グループならではの価値をお届けする。それにより、国内外の生活者の皆さまから支持を頂き、私たち社員一人ひとりが報い報われる、というウェルビーイングの好循環を目指しています。
目まぐるしく変化する世の中だからこそ、森永乳業グループは私たちの健康・幸せを大切にし、そして、私たちならではの独自性に磨きをかけていきます。そしてお客さまの健康を支え、幸せな生活に貢献する商品・サービスをご提供することで、より多くの「かがやく“笑顔”」を生み出していきたいと改めて想いを強くしています。


森永乳業グループが考える
サステナビリティ経営のあり方

私たちがこの先もお客さまの健康を支えていくためには、経営資源である自然の豊かな恵みや事業にかかわる様々なステークホルダーとの連携が必要不可欠です。同時に、これらを維持し、さらに発展させていくためのチャレンジが必須となります。
この意思を反映し、森永乳業グループとしてのサステナビリティビジョンを策定しています。

サステナビリティビジョン

森永乳業グループは、「おいしいと健康」をお届けすることにより、
豊かな“日常・社会・環境”に貢献し、すべての人のかがやく笑顔を創造し続けます。

このビジョンは、事業を通じて社会・環境課題を解決し、コーポレートスローガン「かがやく“笑顔”のために」を実現していく、という私たちのサステナビリティ経営のあり方を示したものです。
2022年4月より、2030年度を目標年に据えて、各課題に取り組んでいくことを目指した「サステナビリティ中長期計画2030」を策定しました。現在、中期経営計画との連携を図りながら各取り組みを進めています。
サステナビリティ中長期計画2030は、「食と健康」「資源と環境」「人と社会」の3つのテーマを計画の軸とし、「健康への貢献」「食の安全・安心」「気候変動の緩和と適応」「環境配慮と資源循環」「持続可能な原材料調達」「人権と多様性の尊重」「地域コミュニティとの共生」の7つを具体的なマテリアリティとして、KPI達成に向けて取り組んでいます。

社員一人ひとりの
自分事化を目指して

サステナビリティ中長期計画2030の達成に向けて重要なことは、サステナビリティをいかに社員一人ひとりが自分事化できるか、だと思っています。2023年度はこの自分事化をどこまで加速させられるかが、計画達成の鍵になるのではないかと考えています。

自分事化を加速させるために、各事業所が独自の目標を決め、取り組みを進められるように「事業所サステナビリティ活動」を実施しています。国内グループ会社を含めて約80の事業所に、サステナビリティ活動をけん引する「サステナビリティ推進リーダー」を配置し、取り組みを進めています。サステナビリティ推進リーダー同士のナレッジ共有や相互啓発の機会として、年に2回「サステナビリティフォーラム」を開催しています。私もこのフォーラムに参加し、事業所の皆さんと意見交換をしましたが、意欲的にサステナビリティ活動に取り組んでいることを実感しました。
他にも社内表彰制度である「Morinaga Milk Awards」に、事業所のサステナビリティ活動を表彰する「サステナビリティ大賞」を設けました。私が事業所に赴いたときに、「今度、サステナビリティ大賞に応募します」という話を聞くことが増えるなど、社内でも注目される賞になっており、サステナビリティに対する熱量があがってきたな、と非常に嬉しく思っています。サステナビリティの活動は1つの事業所だけでは限界があると思うので、事業間や他の企業と連携して、取り組んでいけると、もっと良いと思います。

当社グループは真面目な社員が多く、一時期はこの真面目さが故に、挑戦する土壌が出来ていないのではないかと心配したこともありました。しかし、最近社員と対話をしていると、特に若手社員から、こうしたサステナビリティの活動をやってみたいという声を聞くなど、徐々に変わってきているな、挑戦する社員が増えているな、という手ごたえを感じています。

こうした芽を潰さず、チャレンジしていく土壌を整え、伸ばしていくのが私の役目だと思っています。サステナビリティはチャレンジの連続です。中長期的な取り組みが故に、効果が見えにくいこともありますが、社員の皆さんがチャレンジしたい、し続けたい、と思えるような会社にしていきたいと思います。そのためには、今年度も事業所サステナビリティ活動の主役である社員の皆さんとの対話を続け、意見や考えを聞いて、サステナビリティ経営を進めていきたいと思います。

「サステナビリティ中長期計画2030」の初年度を振り返って

「食と健康」のテーマでは、「健やかな成長」と「健康寿命の延伸」に貢献することを目指しています。お客さまのニーズと、当社のシーズを掛け合わせ、且つ当社が提供する「健康価値」を「健康5領域」と定義しました。その健康価値をもとに「健康強化マップ」を作成し、商品・サービスを提供してきました。たんぱく質を強化した商品や、大腸の腸内環境を改善し、便秘気味の方の便通を改善する機能性表示食品などの開発、販売強化も進み、健康5領域の売上高は、2021年度比1.1倍となりました。
最近の世の中の動きを見ていると、DXやAIの活用が盛んだと感じますが、例えばAIなどの正確性が向上した世の中を想像すると、健康に寄与する商品というのは、本当に体に良い価値のあるものに限られていくと考えます。

時代や価値観の変化により、健康に寄与する商品の価値は変わっていくはずなので、本質を見極めていかなくてはなりません。そのためにはお客さまにとっての本当の価値は何かを自身に問いかけ続け、ステークホルダーとの対話を継続していくことが必要だと考えます。

商品やサービスを介して健康価値を提供するだけでなく、健康に関する普及啓発活動にも取り組んでいます。当社グループが事業を強化しているベトナムでは、2023年5月に「Smiles & Health for Children」プロジェクトを開始しました。ベトナムでは、地域により栄養不良の子どもが多く、幼稚園で提供される給食が栄養源になっていることがあります。適切な幼稚園給食が提供できるよう、調理設備の改善等の支援を行い、子どもたちの健康・栄養状態の改善を支援します。

「資源と環境」のテーマは、課題が多岐に渡るだけに、適切なアクションを見極めることがとても難しい領域です。ある一つの課題に対応できても、他の面で別の課題が発生する可能性があるため、アクションの実行には総合的な判断が必要です。2022年度はサプライチェーンを通じた気候変動の緩和と適応、水資源の保全、石油由来のバージンプラスチックの削減をはじめとした活動に力を入れてきました。
その中でも、気候変動の緩和と適応、および、持続可能な原材料調達に関係する課題として「酪農の持続可能性」があります。私たち酪農乳業界は、牛が出す乳を原料にしていますので、その牛を守り、持続可能な酪農にしていく必要があります。
そこで、牧場で排出されるメタンの削減と労働負荷の削減が期待できる、ふん尿処理システム「MO-ラグーンfor Dairy」を開発しました。このシステムは糞尿処理の過程で発生するメタンの削減、酪農に関わる方々のふん尿処理の負荷を軽減し、窒素負荷軽減した浄化水の放流による環境保全が期待されています。23年度、当社グループが経営する那須岳麓(がくろく)農場に導入し、試験運転をしています。今後は全国の酪農家に広げ、持続可能な酪農に貢献していきたいと考えています。
他の環境の取り組みとして、石油由来バージンプラスチックの削減の一環として、バイオマスプラスチックを配合したストローへの切り替えや、破損・劣化して使用不可となったプラスチック製物流資材(クレート及びパレット)をリサイクルし、再び社内で使用するという、社内プラスチック資源循環の取り組みなどを行っています。
ただ、プラスチックについては水平リサイクルの取り組みなども増えており、当社グループのみでは限界があると考えています。今後はバリューチェーン全体でどのように対応すべきかを検討していきたいと思います。

「人と社会」のテーマで欠かせないのが、「人的資本」です。まさにこれから重要になるのは「人」だと思っています。当社グループは、人を財産だと考え、社員を「人財」と呼んでいます。社員に持続的に働いてもらうためには、「居心地のいい会社」でありたいと思っています。この「居心地がいい」というのは決して楽が出来る、というわけではなく、求められる仕事の質を担保しつつ、自身のキャリアプランを描くことができ、ワークライフバランスを実現することができる、という意味です。
例えば、男性も女性も活躍していくためには、仕事に加えて家事育児を男女ともに担える体制が必要です。その一環として、当社は男性の育児休暇を推奨しており、産後パパ育休(出生時育児休業)では、国の基準を上回り「100%有給(給与・賞与を100%支給の上、休業できる制度)」として導入しました。2022年度では男性の育児休暇取得率が90.5%となるなど、ワークライフバランスの充実をきっかけとして、男女ともにキャリアプランを描けるような体制構築を進めています。

ステークホルダーの皆さまへ

サステナビリティの追求は長い時間を必要とする取り組みです。足元の成長を実現しつつ、中長期的な発展の道も同時に模索しつづけていく必要があります。私たちはこれからも、お客さまの健康を支え、幸せな生活に貢献することで笑顔あふれる豊かな社会を実現するためになすべきことを見極め、社会の変化にあわせ、サステナブルな企業を目指し、挑戦を続けてまいります。
今後も森永乳業グループへの変わらぬご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

2023年9月

代表取締役社長
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